NST(栄養サポートチーム)

 一日も早い回復と退院後のより良い生活のために~栄養サポートチーム(NST)がお手伝いします。

NSTって何ですか?

 Nutrition Support Team=栄養サポートチームの事です。栄養管理について専門的な知識と技量を持った医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師、リハビリセラピスト、医事部員など各専門職で診るチームです。

栄養がそんなに大事なのですか?

 栄養管理がなぜ必要かというと、栄養障害が進むことで、体のタンパク質(筋肉や臓器)が減る、いわゆる栄養失調の状態になってしまうのを防ぐためです。体のタンパク質は20~30%程度失われますと生命維持ができなくなって死に至るといわれています。検査などで絶食が続いたり、臥床している時間が長くなると体のタンパク質が失われてしまうことが多く、できるだけ早い時期に体のタンパク質が減らないようにすることが大切です。

栄養管理はすべての治療法の基盤です。

 栄養状態が良くなければ、どんな治療を行っても効果が上がりません。先進的な手術を受けても、よい薬を使っても回復せず、合併症を併発するなど状態が悪くなるという事もあります。適切な栄養管理を行うことですべての病気に対し回復過程が早くなります。そのために各職種が専門的知識を出し合い、チームで医療を行うことが必要であり、栄養管理の立場からチーム医療を行うのが栄養サポートチームです。

栄養状態が悪い人ってそんなにいるのですか?

 入院患者の約40%、在宅で35%の方に栄養不良患者が存在するという報告があります。

どんな方を対象としておられるのですか?

 栄養状態に問題がありそうな患者さんはすべてが対象となります。
 例えば手術前後の患者さん、がんを患っている患者さん、嚥下障害(飲み込みが悪い)のある患者さん、消化管に問題があり食事が摂れない患者さんなどいろいろな患者さんを対象としています。消化吸収機能に重要な役割を果たすのは腸です。食事が摂れなければ腸の機能を使うことができません。もちろん点滴をすることもありますが、腸を使うことが非常に大切であり、時には経管栄養(胃や腸に入れた管を通した栄養)が必要な場合があります。食事量が少なければ栄養補助食品と呼ばれる栄養剤や栄養強化食品をすすめる場合もあります。最終目標は食事を口から食べる事です。口から食べる、胃や腸に栄養剤を投与する、点滴する、栄養サポートチームはこれらの方法を組み合わせることで、個々の患者さんに最適な栄養管理を行います。

NSTの効果はどんなものですか?

 患者さんの栄養状態の改善に伴って術後の経過や病状の回復が早くなる、褥瘡(床ずれ)が改善する、免疫力がつき院内感染が減る、手術の患者さんの在院日数の短縮する、などの効果があります。
 何より患者さんにより質の高い医療を提供することができ、早く元気になって退院していただけるようになるというメリットがあります。