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山本院長のこぼればなし、あれこれ。
私は院長の山木垂水と申します。このコーナーは、医療に関することだけに留まらず、私のやっていること考えていることを、ふだん着でお伝えします。
第9話 (平成17年6月29日掲載)
第41回 日本交通科学協議会総会・学術講演会を終えて
 このコーナーの第6話(2004年8月)で既にご報告いたしておりましたとおり、第41回日本交通科学協議会総会・学術講演会(http://www.jcts.or.jp)を2005年6月2-3日京都で開催させて頂き、無事、盛会の中で終了することができました。本会が関西で行われますのは、41年という長い本会の歴史の中で第14回総会(神戸大学医学部法医学教室教授・溝井泰彦会長)以来27年ぶり、2回目であり、その会長にわたくしをご指名いただきましたことを誠に光栄に存じておりました。

 わたくしは、この第6回でご報告いたしましたように、本会において、二つの大きなテーマを考えシンポジウムの形でご討論いただくことを計画しておりました。一つのテーマは「交通と環境」です。1997年、この京都の地において「国際気候変動枠組み条約第3回締約国際会議(COP3)京都会議」が行われ、先進国全体で温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化を防止しようという「京都議定書」が採択されました。この「京都議定書」はわたくしがこの会でシンポジウムに取り上げようと考えた時には、国際法としての効力は持ちあわせておりませんでした。しかし、はからずも、昨年11月ロシアがこれを批准した結果、2005年2月16日発効されました。これにより、すでに締結している129カ国と欧州共同体のあいだの国際法としての効果を持つことになりました。まさに、このような歴史的な年に、京都という場所で、交通に関与しておられる研究者や企業など5人のシンポジストの方々に、「交通と環境」について熱くご意見をいただき、会場からの熱心な討論をいただけたことは、この企画を考えたわたくしにとってもこの上もない喜びであり、今後このような問題がいろいろな機会にもっと討論され、地球温暖化の防止に役立たなければならないという決意を新たにいたしました。

 さて、もう一つ企画したシンポジウムのテーマは「大量の人を運ぶ企業における安全対策」でした。この企画には、日本の代表的な陸・海・空の企業であります(株)西日本旅客鉄道会社(JR西日本)、(株)名門大洋フェリー、(株)日本航空インターナショナルの安全対策担当の方々にそれぞれの分野における「安全対策」についてお話をお伺いできるはずでした、しかし、誠に遺憾なことですが、皆様もご承知のように、本会を目の前にした、4月25日、JR福知山線において、大変大きな車両脱線事故が発生し、数多くの人々が犠牲になられました。事故の翌日には今回シンポジウムでお話いただく事になっておりましたJR西日本の発表者から、演題取り消しのご連絡がございました。そして、現在、この問題は国土交通省の事故調査委員会や警察による原因解明の調査が行われているところです。そのような情勢のなかで、この時期このテーマでシンポジウムを行うことは本会として適切な時期ではないと考え、他の発表ご予定の、航空会社やフェリー会社の方々や、また日本交通科学協議会事務局や理事の先生方とも緊急にご相談をし、その結果、このテーマを今回のプログラムから削除いたしました。このテーマを企画したわたくしにとってはあまりの皮肉な巡り合わせに驚愕し、また犠牲になられた多くの皆様やご家族の無念のお気持ちが交錯し言葉も出ませんでした。わたくしは、「交通安全」というテーマは、この日本交通科学協議会が取り組んでいかなければならない、究極のテーマの一つであると確信しております。そのような意味からも、今回のJR事故で尊い命をなくされた107名の犠牲者の皆様に対し、日本交通科学協議会の名において、この会の冒頭の会長のご挨拶の時、会場にお集まりの全ての方々にご起立いただき、黙祷をささげ、心よりの哀悼の意をあらわしました。そして、今後、このテーマは継続して日本交通科学協議会の最重要なテーマとして討論することが理事会、評議員会、総会で確認されました。

 さて、開催日両日の昼食時にランチョンセミナーとして帝京大学医学部・救急救命センター教授・坂本哲也先生、茶道、武者小路千家・家元・千 宗守様に、それぞれ「外傷による死亡者を減らすために −病院前救護と初期診療のガイドラインについて−」、「一畳半の緊張」というタイトルでご講演をお伺いすることもできました。両先生とも非常に判りやすく、興味深いお話で会場の参加者の皆様方も非常にご満足いたしておられました。
 また、一般演題も交通科学に係わる各分野から36題の応募をいただきました。 このような次第で大変盛りだくさんのプログラムになりましたが、会員の皆様方には最初から最後まで熱心な討論をいただき、大変実り多い総会にしていただきました。会長としてこの場をお借りして心から御礼を申し上げたいと存じます。
 最後に、身内のことになり恐縮ですが、本会の会場の受付やご案内、発表スライドの投影、場内アナウンスなどの裏方としての仕事を、学会開催ということなど全く経験のない京都九条病院の看護師や事務員、技師たちが病院の休みを返上して全面的に協力してくれました。全くの素人集団でしたが、何回かの会場でのシュミレーションや実行委員会を行った結果、本番では全くトラブル無く、さらにご出席の会員の皆様よりその仕事ぶりにお褒めのお言葉をいただきました。病院の長として、病院以外でも職員が一丸となってはじめての仕事を見事に達成してくれたことに感謝すると同時に、京都九条病院の職員の底力を見たようで大変うれしく思いました。
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